田城讓弁護士による法律コラム 交通事故や相続問題、離婚問題やその他、法律に関するコラムをご紹介。

遺言執行は弁護士の仕事

相続問題

子供が多いとか、財産が相当ある場合には、誰しも遺言書の作成を考えることがあるものです。しかし、多くの場合、自分が死んだ場合を前提にすること自体が考えたくない事象ですから、弁護士に相談はしたものの、実際に作成に至らないことがほとんどのようです。 しかし、遺言の作成についての書籍も結構出ていますし、いろんなところでセミナーなども開催されたりしていますから、実際に遺言書を作成する方も増えていると思われます。遺言書を、作成する場合に普通頭を悩ますのは、各相続人に対する遺贈の額や内容で、書籍やセミナーなどでもそこにしか注意が注がれていません。

しかし、実際に最も大事なのは遺言の執行なのです。遺言書を作成した本人は既に生存しないのですから、その遺言内容を実行するためには遺言執行者の存在が不可欠なわけです。

ところが、遺言執行者の指定もなく、包括的に長男に遺贈する内容の遺言書が残されたために、5年以上の年月裁判を続けることになったことがありました。相続人の一人を遺言執行者に指定するような遺言書もよく見かけますが、その遺言執行者自体が紛争の渦中におかれることになる可能性が高いのですから、適切な指定とはとてもいえません。

ですから、遺言書の作成については、弁護士に相談されるべきで、遺言の内容のみならず、その実際の遺言執行もその弁護士に委ねて、せっかく作った遺言書が適正に執行されることを確保するのが最良の選択です。この遺言執行を業として行うことができるのは、弁護士だけなのです。

また、遺言書を作成するにあたっては、本人からいろいろな話を何度も聞き、その遺言作成に至った動機などにも熟知しておくことが、将来の遺言執行を自信をもって行う上で極めて重要なのです。

また、遺言の執行によって具体的な配分が為されると当然に相続税の問題も生じますし、遺言の内容の設定についても相続税の問題を考慮しなければなりませんから、税理士の関与も不可欠なのです。

また、相続税を考慮した遺言内容の検討、そして遺言の執行の段階になっても、弁護士と、税理士の共同作業が必要ですから、両者が車の両輪として働けることが理想です。ですから、遺言書の作成を依頼する場合には、この点も考慮に入れて検討されることが重要です。私の場合も、常に税理士との共同作業を念頭に置いて受任するように心がけています。

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