田城讓弁護士による法律コラム 交通事故や相続問題、離婚問題やその他、法律に関するコラムをご紹介。

コンピューターに関わるトラブルについて

中小企業顧問

当事務所で常に係属している事件の種類として、コンピューターのシステム開発に関する相談や訴訟事件があります。 私が独立して事務所を始めた時に、一番最初に顧問契約をしてもらったのがコンピューターのシステム関連の会社でした。その会社自体は優良な内容で、経営者のコンプライアンスに対する考え方もしっかりしていますから、弁護士のアドバイスを積極的に取り入れる方針でトラブルを未然に防止するようにしてきました。

その会社との関係があったっため、コンピューターに関する知識を授けてもらったり、IT関連の事件に関してはアドバイスや鑑定をしてもらったり、あるいは事件の紹介を受けたりして、私自身コンピューター関連のトラブルには数多く接してきました。

IT関連とは言っても、コンピューターに関する知識が深いとか、豊富と言うわけではありません。弁護士として必要なのは、どのような経緯で、どのような種類のトラブルが発生するのかという経験的な知識、そしてこちらの正当性を如何なる方法で立証するかという方法論です。

最もトラブルの多いのが、コンピューターのシステム開発に関する請負契約で、仕事の過程も仕事の成果も、一見して判断しにくいですから、請負人であるIT企業にとっても、注文主にとっても、トラブルの主張も立証も困難なところが少なくないのです。

この点、建物の請負契約ならば、目で見て手で触れる対象物がありますから、瑕疵の内容については専門家の判断が必要ですが、紛争の対象をリアルに捉えることは比較的容易です。

しかし、コンピューターのシステム開発の場合には、完成物が抽象的なものであり、その具体的な内容については、関係者のそれぞれが違う考えを持っているのが普通ですし、しかもその仕事の内容や過程が当然に誰もが判るものではないですから、仕事の開始から完成に至るまで、トラブルを内包しているのが宿命なわけです。

注文者としては、開発の過程での注文が反映されていない、完成した成果物が全く予想と違うものである。そして成果物の引き渡しを受けたものの、その運用にはさらに多額の費用がかかることは予想外であるとか、さまざまなクレームが発生します。その反対に、請負人側では、開発過程で様々な注文が追加されて仕事が増加しているのに追加代金に応じてもらえない、システムは運用までに多大な時間と費用がかかるのに全くその点を理解してもらえない、プログラマーに多額の人件費を支払っているのに代金の支払いをしてもらえないなどのトラブルを抱えています。他にも目に見えない仕事であるシステム開発において発生するトラブルは、枚挙にいとまがありません。

そのトラブルを未然に防ぐ方法は、仕事を始める前にしっかりした契約書を弁護士の監修のもとで作成すること、仕事が開始されてからは請負人と注文者との間で為されるミーティング、協議の内容を議事録にしておくこと、追加の仕様とそれに対する追加請求について注文書と請書で明確にしておくこと、完成した成果物の授受は書面で明らかにして、その検収についても慎重に行うことなど、あらゆる項目に及びますが、いずれにしても慎重に協議を重ね、確認事項を議事録などで明確に残しておくことを心がけるのが第一です。

そして、どのような簡単な契約と思われても、顧問弁護士には常に報告しておき、契約書だけではなく、議事録の内容なども検討して、いろんな角度からトラブルの発生を予防することが何よりです。

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